2015年1月6日火曜日

”ココロをデザインする!”サービスデザイナー奮闘記/地方旅館をサービスデザインで変革せよ!(4)

数ヶ月間かけて試行錯誤で取り組んできた、私たちなりのサービスデザインによる旅館のサービス革新。振り返ってみて、今後に活かせることは何かをまとめると、以下のようになる。むしろ、それがないと成果にはつながらなかっただろうと思われる要素である。


▶サービスデザインがデザインするものとは?
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  1. ターゲットとなる課題(新たな価値/ココロの状態)をデザインする!
  2. 課題解決方法・プロセスをデザインする!
  3. 新しいサービスのプロトタイプをデザインする!
  4. 新しいサービスを機能化させ、さらに発展・向上させる運営システムをデザインする!
  5. 価値を共有する関係者各人が、新たな価値を創造するために必要な人的スキルと行動をデザインする!
  6. 新しい価値を創造し続ける組織文化をデザインする!




1.課題のデザイン
大 切なのは、現状の問題を前にした際、最初に”この状態をどうしたいか、自分たちはどうありたいか”をしっかりデザインできるかどうかである。それが描けな ければ、次に進めない。同時に、そのデザインは改善レベルではなく、どんな新たな価値を創造したいか?どんな感動を生み出したいか?という革新的なイメー ジを描くことが、知恵を出す上では重要となる。そのためには、問題に向き合い、未来を見通し、顧客視点で見つめ直し、自分の中に感じる可能性に賭けてみ る、という自分自身のわくわくしたココロの動きがなければならないように思う。


2.解決方法・プロセスのデザイン
私 たちが分析にもとづいて「このようにやればいいのです」という道をつくり、それに乗っかってもらうという発想は捨てた。本当の解決方法は、わいわいがやが や言いながら全員が知恵を出し合って行く中で見えてくる。なぜなら、自分の考えを整理し、発信することで、改めて自分の考えを客観視し、本当に何がやりた いのかが明確になってくるからである。スタート時は固定観念との闘いはあるが、それがほどけてくるところから、むしろ眠っていた新たな可能性が、参加者の 中から生まれてくる。そのプロセスを一緒に体験することで、「感動を生み出すにはこれをやるしかない」という共通意識が芽生えてくる。


3.プロトタイプデザイン
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新たな価値を生み出すための道が見えてきたら、実際にやってみるしかない。せっかくのアイディアを単なる理想で終わらせないためには、ここでも様々なアイ ディアを出しながら、デザインしていく必要がある。現場には「制約」がある。場所、人、時間、コスト…それをいかに乗り越えていけるかに、デザインの本質 がある。且つ製品と違い、サービスはお客様と協働で創り出すものだから、実際のリアクションを見ながら精度を高めていくしかないのである。もちろん、その 前提で仮説に基づいてリハーサル(ロールプレイング等)も行うが、お客様も画一でないだけに、様々な状況対応の軸を入れていくとなると、”試しながら、皆で進化させていく”ことが必要となる。



4.運営システムのデザイン
プ ロトタイプ実験後は、できるだけサービス品質が安定・向上するように、システム化する必要がある。しかし、”システム最優先”の枠入れ発想で関係者の行動 を押し込めてしまうと、進化が止まる。大切なのは「感動を生み出すための」システムであり、常に本当に目的に沿って機能しているかをチェックし、進化させ ていく必要がある。


5.人的スキルと行動のデザイン
こ れは新しいサービスを目的に沿って機能化させるために どのような役割行動をすればよいのか?また、どのようなスキルが必要となるのか?をデザインするこ とである。「何のために自分はそこにいるのか」という役割を正しく認識し、状況を見て判断・行動できるようにデザインし、そのスキルをトレーニングしてい くことは非常に重要となる。もちろん、採用からこだわることも大切であるし、育成のプロセスをデザインすることも大切である。また、行動の奥にあるマイン ドも含めたデザインであることが定着のためには重要となる。


6.組織文化のデザイン
私 たちが意識したのは、「サービスには完成形も終わりもなく、時代や人の変化と共に、常に進化させ続けなければならない」ということである。そのためには、 より価値を生めるよう、当事者として自律的に新しい方法を生み出し、実践化する必要がある。それが「当たり前」と思う組織文化が創られれば、日常の中での 気づきも大きくなる。ゆえに、プロジェクト全体を通して、いかに一人一人が主体的に参画できるようにするか、そして、そのプロセスには産みの苦しみがある 一方で、“楽しさ、やりがいがある”“感動がある”と実感してもらうことが大切となる。それが当たり前になると、新しく入ってきた人も良い意味で感化され る。これは、まさに組織文化を新たにデザインすることと言える。



Road06 私たちは、あくまで試行錯誤から、サービスデザインを上記の6つの視点で捉え直すと、よりスムーズに実現につながると気づいた。まだまだこれは検証が必要であるし、精度アップも必要と考えている。ゆえに、外部からのフィードバックを欲しているのも事実である。


次回は私たちが考えるサービスデザインの基盤となる5つの考え方をご紹介したい。(続く)





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サービスデザイン研究所
Service Design Institute
代表取締役/サービスデザイナー 袋井 泰江(Fukuroi Yasuko)













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