2014年9月16日火曜日

サービスデザインとは?vol.5 ~サービスデザインは一つの意味を持った「世界」を創り出す~



先日読んでいた本〈紺野登:「知識デザイン企業」(日本経済新聞出版社)〉の中に、次のような言葉があった。

「われわれのプロダクト、サービス、ビジネスもひとつの意味を持った「世界」あるいは「場」である。」

「そこには当然、求められる無名の質がある。デザインというと最近はとかく差別化や目立つことが重要視される風潮があるが、本来のデザインは目立たなくてもそこに無名の質が込められていることが重要なのだ。」

そして無名の7つの質の特性として、

  1. 「生き生きしていること」 alive 
  2. 「全一的なこと」 whole
  3. 「居心地の良いこと」 confortable
  4. 「とらわれのないこと」 free
  5. 「(知識の)正確なこと」 exact
  6. 「無我であること」 egoless
  7. 「永遠であること」 eternal
を紹介している。



サービスデザインは、顧客視点に立って「心の新たなカタチを創造すること」と前回書いたが、心のカタチは意外に目に見えない、目立たないさりげない接点やインタラクティブな体験プロセスを経て創られていく。そして最終的に、デザインされたサービスによってお客様・サービス提供者共に前向きに心が動く(=感動)というトータルの〈世界〉〈場〉を創り出していると言える。



例えば、車の購入を考えている人にとって、他に候補がある中で、新しい機能や性能はもちろんだが、それだけでなく「レクサスに乗る自分をどうイメージするか」から始まって、実際にレクサスの販売店に行って説明を聞いたり、試乗をしたりする。そして、自分が欲していた、行き届いた設計によるとらわれのない走りや居心地の良い空間、またそこから降り立つ颯爽とした自分…等々の世界を体験する。”レクサスを選び、所有し、運転して出かける、それが自分のライフスタイルの一部になる、すると毎日の生活がいっそう心豊かに感じられる。即物的な車販売ではなく、そういう一連の世界観をレクサスは作り上げることを目指しているているように感じられる。だから、レクサスを販売する際には、広告から始まり、販売店、メンテナンスに至るまで、従来の系列のやり方とは一線を画した新しいコンセプトでスタートしたと聞いている。



ただし、すべての接点において、一方的に押しつけるのではなく、顧客との価値共創が必要になる。例えば、単に納車セレモニーを用意して、それを顧客に画一的に実施するのではなく、それぞれのお客様がどのようなライフスタイルを心の中で描いているのか、車にどのようなこだわりを持つのか、どのような目的で使用するのか…サービス提供者とのインタラクティブなやりとりを架け橋にしながら、〈最適〉を創り出していく。それでこそ満足が生まれる。また、売って終わりではなく、その後の広がりの世界をさらに追求していく。それがサービスデザインの革新性・創造性とも言えるし、お互いのハッピーを生み出し続けていく。





今あるハードとソフトを綺麗につなげることをサービスデザインと呼ぶのではなく、顧客の視点で感動を創造する世界とは?をとことん考え抜き、それを現実化するのがサービスデザインである。それは決して簡単なことではない。しかし、この理想を本気で現実化しようとする中で、これまでになかった新たなデザインが生み出されてくる。それだけに、まずは理想を明確に描くことに妥協があってはならない。

次回は、この理想の現実化について考えてみたい。

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*--*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
サービスデザイン研究所
Service Design Institute
代表取締役/サービスデザイナー 袋井 泰江(Fukuroi Yasuko)













▼ホームページ:http://sdi.ecnet.jp/
▼Facebookページ:http://p.tl/7ZpR

▼袋井のブログ
【人が育つコールセンターづくりへの挑戦~コールセンターブログ】:http://sdi20041101-callcenter-fukuroi.blogspot.jp/
【ストアマネージャーのマネジメント力力向上講座~ブランド価値の高め方】:http://sdi20041101-luxurybrand-fukuroi.blogspot.jp/

店長カレッジのご案内
2015年1月よりプロフェッショナル店長養成講座「店長カレッジ(全4回)」を開催いたします。サービスデザインを織り交ぜた密度の高いセッションです。
詳細は下記ご案内をご覧ください。
店長カレッジのご案内(PDFファイル) 

【グローバルサービスデザインで新たな時代を切り拓く!】
独自のサービスデザインスキルにより、サービス革新に挑戦する組織の顧客価値創造支援を行います。

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*--*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


このエントリーをはてなブックマークに追加

0 件のコメント:

コメントを投稿